欠陥と欠点について

ある夜、湯船に浸かりながら、いつものようにもやもやと考え事をしていた。その日ぼんやりと考えていたのは、自分の最近の失敗と、過去にしでかしてきた数々の失敗について。色々と思い返していたら、「やっぱり、自分には欠陥があるんだろうな」という言葉…

小豆島の思い出

大学の友達と岡山-小豆島への一泊旅行をしてから、もう6年になる。時が過ぎるのが早すぎる。なぜ小豆島へ行くことになったのか、はっきりとは覚えていないけれど、大学生活も終わりが近くなった初夏に、景色がいいところへ足を伸ばしたくなったのだろう。ち…

コンビニと常連さんと私の記憶

大学生の頃、駅ナカにあるコンビニでバイトしていた。コンビニという特性と駅という場所もあって、客層は多種多様だった。通勤客、通学客、旅行客、近所の常連さん...本当に様々な人達が利用していた。その中でも、常連と言える人達で私の心に残っている人達…

死ぬことと、言葉を持つこと

今も通っているのだが、以前住んでいた町でも、私は心療内科に通っていた。 心療内科では、その時の生活上での困りごとや、不安になっていることを主に話すのだが、例えば「眠れない」とか、「仕事に行けない」、「深夜に不安感が出て困る」とか、そんなこと…

秋の川辺の記憶

ベランダからそばの河原を見下ろすと、川面を撫でる風と秋草を照らす光が気持ちよく、傍で虫取り網をポンポンと動かして虫取りをしている人が小さく見えて、時間が止まった世界のように思えた。しばらくするとその人も顔を上げてこちらに気がついたので、世…

生まれてきた場所

大学の4年間でお世話になった寮を久しぶりに訪ねて、大好きだった裏庭を覗いた時、風がざーーっとふいて、木々が優しく揺れた。その時、木々たちが「おかえり」と言ってくれている気がした。 実家の車庫から家族を乗せた葬儀車が出ていく時も、とても優しい…

ラーメンズ『銀河鉄道の夜のような夜』

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のパロディとも言える作品だが、タイトルの『銀河鉄道の夜のような夜』の「のような」が示すように、物語の中身はオリジナルの作品と結構違っている。 お祭りや、活版印刷、牛乳屋、銀河鉄道に二人が乗り合わせるところ、化石の発…

船の話

夕暮れの雨で、緑がかった灰色に烟る海の上を、幾隻もの船が行き交っていた。大きなタンカー、中くらいの遊覧船、小さなボートが細々と動く様子は、やはり生き物のように見えた。車や電車が生き物に見えることはあまりないが、船のことは生き物のように捉え…

無題

11月 その人の訃報のニュースが出回った日を よく覚えている ちっぽけなSNSの画面に連なる怒涛の 衝撃 困惑 疑心 かなしみ 続きを書くはずだった 空白の項 思考が宙に浮く時間 その人のことをよく思う 赤い薔薇のように美しく (底なしの醜さを眼前にして) …